2018年5月2日水曜日

矢的竜さん 三成最後の賭け 発刊

 彦根市古沢町の作家・矢的(やまと)竜さん(70)=本名・山本利雄さん=が、戦国武将の石田三成の生き様を描いた本「三成最後の賭け」を発刊した。
 矢的さんは京都府京丹後町出身。滋賀大学経済学部を昭和45年に卒業し、民間会社や江戸川区役所などの勤務を経て、平成13年に退職した後、文筆活動に入り、中近世文学大賞優秀賞、九州さが大衆文学賞佳作などを受賞。平成23年に小説「折り紙大名」で作家デビュー。平成24年5月に彦根市に移住した。
 7作目となる今回の作品は、関ヶ原の合戦後、山中に身を隠すなどあまり良く描かれていない三成のイメージを払しょくしようと、従来の説とは違った見方で約1年間かけて書き上げた。
 本では、豊臣秀吉の良き家臣になりたいと願う三成が、気の合う小西行長と共に朝鮮と明への侵攻(唐入り)の阻止に向けて奔走。秀吉が唐入りに固執する背景には徳川家康への苦手意識のほか、外征による疲弊で豊臣政権の瓦解を狙う謀略があるという家康黒幕説に基づいて論じている。
 三成らの努力が報われず、朝鮮への侵攻(文禄の役)が始まったが、朝鮮王朝の平和ボケや堕落ぶりも表面化。2度目の慶長の役後、秀吉が亡くなったことから、三成は兵を撤収。その後、家康率いる東軍との戦いに敗れ、戦場を離脱して身を隠した。武士らしく切腹しなかった理由として、本では「家康というずる賢い男が、太閤の地位と財産を盗み取るために朝鮮の民を大量殺戮に追い込んだ」とし、家康黒幕説を後世に伝えるために身を隠したと展開している。
 矢的さんは「おごりともうろくから誤った命令をする上司にどのように対応するべきか、また絶対権力者がいる無法国家の侵攻を防ぐ方法は何か。いずれも現代に通じる問題であり、この本を通して何かヒントになれば」と話している。
 出版は新潮社。1冊1836円。252ページ。全国の主な書店で販売している。

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