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2015年10月3日土曜日

大久保市長の資質と力量を疑う

 小生は、政治家にとって最も基本的な資質は「先を読む能力だ」と確信している。そういう見方からした場合、市役所の耐震化を巡り、6月議会と9月議会に連続して提案した関連議案が事実上否決された大久保市長は、その資質が欠けていると言わざるを得ない。
 振り返れば、約2年前の9月に当選間もない大久保市長は、その月の議会で耐震関連の議案の提案を見送り、「ゼロベース」を表明した。市長としてのリーダーシップまたは独自路線を見せようと格好をつけたかったのだろう。しかしそれ以降、この問題に追いかけ回され、2年が経過した今議会でも結論を出せなかったのだから、2年前のパフォーマンスは空回りに終わったと言ってよい。
 2年前、大久保市長が「ゼロベース」を議会で表明した際、小生と一緒に傍聴していた複数の市職員は皆、天を仰ぎ、「えっ〜」と言いながら首を傾げていた。平成20年3月に市既存建物耐震改修促進計画を策定し、本庁舎耐震化に向けて練ってきたものを白紙化されたのだから、当時の市職員の思いは理解できる。
 今議会でも数人の議員が指摘していたが、大久保市長の答弁には「今後、検討する」という言葉が目立っていた。つまり、とりあえず大まかなプランを立てて、細部は議決後に詰めていく、という思惑だろうが、30億円近い事業費をかけ、駅からの観光客が必ず前を通る市の顔(市役所)の整備が大まかでは困る。案の定、6月議会と9月議会でもさまざま問題点が明らかにされ、それらが致命傷となり、市長提案の関連議案は両議会とも事実上否決された。
 ここまでこじれると責任論が叫ばれるが、ゼロベースを表明した2年前をはじめ、6月議会、9月議会と「先読み」を見誤ったわけだから、市政を停滞させた大久保市長の責任は極めて重大である。
 彦根城の世界遺産、9年後の国体に向けた運動施設の整備、図書館やごみ処分場の新設、渋滞緩和、観光振興など彦根の課題は山積みである。しかし、市役所耐震化という市民にとっては直接的に関係のない事案に2年以上も費やしているようでは市長としての力量を疑わざるを得ない。
先を読む資質・力量やリーダーシップが無いのならば、それをまずは素直に認め、市職員や市議、そして市民の助けを得ながら、山積みの市政課題にあたるべきである。【山田貴之】

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