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2015年6月27日土曜日

現市長の耐震計画案否決され練り直し 前市長案を市議会支持

 彦根市役所本庁舎の耐震化を目指し、大久保市長が彦根駅東口への仮設庁舎の建設費(約3億7486万円)を6月議会に提案していたが、複数の市議が採決日の25日に同建設費を省いた修正案を提出。議長を除く23人で採決が行われ、賛成12、反対11で可決された。修正案の可決を受け、大久保市長は「賛成派の議員の論点を整理して、対応策を考えたい」と述べた
 修正案は谷口典隆議員を提出者として出され、谷口議員は「昨年末の付帯決議の多くを履行しておらず、議会軽視と言わざるを得ない」と批判した上で、23日のマスコミの取材に彦根市民会館にある部局の集約化を本庁舎耐震後に行うと市長が表明したことを取り上げ「一般質問での答弁をひるがえした発言で場当たり的だ。そのような不誠実な予算は認められない」などと提案理由を説明。赤井康彦議員と安澤勝議員が修正案に反対、山田多津子議員と獅山向洋議員が賛成の討論を行った。
 そのうち獅山議員は自身が市長時代に計画した耐震案と大久保市長案を比べた図面や、新しい長浜市役所の写真をパネルで紹介しながら、約50分間にわたって大久保市長案を批判。「市役所はその市のシンボル、ランドマークであり、大久保市長案の外観は他市に見せるのは恥ずかしい」と指摘した上で、市長与党の民主党系の会派「夢みらい」に労働組合を支持母体にした議員がいることにふれ「大久保市長案は市職員として働く者の立場に立っていない」と語った。
 採決では獅山・谷口両議員、共産党の2人、公明党2人、無会派1人のほか、自民党系の公政会から4人、夢みらいから1人の計12人が賛成し、可決された。
 採決後、本紙などの取材に応じた大久保市長は、5項目の付帯決議のうち3項目を反映させたことを野球に例え「5打数3安打ではなく、議会は5打数5安打しかダメだという判断。議会の中で頂いた色んな意見を整理して対応していきたい」と答えた。
 ※【解説】昨年12月議会で可決された付帯決議は▽耐震補強ができていない市民会館にある部局の執務スペースを確保するために本庁舎に増築する▽防災拠点となる危機管理対応部署を本庁舎に設ける▽窓口業務をワンフロア化に▽来庁者の駐車スペースを確保する▽工事中の仮庁舎を本庁舎敷地内に建設する―よう求める内容。
 獅山議員ら修正案を支持した議員は以上の5項目すべての履行のほか、▽彦根市民会館の扱いが不明▽市民会館にある部局を本庁舎に移す場合の執務スペース(現状約2200平方㍍)が確保されていない▽本庁舎の隣接地に県有地があるものの県との調整が進んでいない▽仮設庁舎の建設費のうち什器(つくえ、いす、収納棚)に1億円超をかけるのはおかしい▽耐震後の外観が美しくない―ことなどを疑問視し、その改善を求めている。
 役所の耐震化に対する国からの補助(緊急防災・減災事業債)は平成28年度中の完成が条件とされており、大久保市長も来年1月から約1年間かけて本庁舎の耐震工事を行い、それに伴って彦根駅東口に仮設庁舎を今年10月着工、年内完成を計画していた。
 しかし、駅東口への仮設庁舎の建設計画が議会に否定されたことで、今後、大久保市長がどのような対応策をいつ立てるのかが注目される。
 なお担当する市公有財産管理室によると、本庁舎の耐震化完了には約10カ月かかるため、平成28年度中に完了させるには遅くても来年6月までに着工する必要がある。
 彦根市議会は25日、採決を行い、一般会計補正予算の修正案や追加議案として市清掃センターで故障した中央自動運転制御装置の更新費など(9557万円)など28議案が可決。子どもの医療費助成制度の拡充を求める請願書や安全保障法制を国民合意なく強行採決しないことを求める意見書などは賛成少数で否決された。

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