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2014年11月14日金曜日

彦根仏壇七職の錺金具師・宮殿師の後継不足深刻、伝統的工芸品の存続危機

 彦根仏壇の専門工程・七職のうち、装飾を作る錺(かざり)金具師と屋根を作る宮殿(くうでん)師の後継者がおらず、国から指定されている伝統的工芸品としての存続を危ぶむ声が出始めている。
 彦根仏壇の七職はほかに、木地師、彫刻師、箔押師、蒔絵師、塗師がおり、彦根仏壇事業協同組合内では国が認定した伝統工芸士が29人いる。そのうち、錺金具師は3人、宮殿師は2人いるが、いずれも50歳代以上で、ここ20年ほどは新しい職人が育っていないという。
 原因として、彦根仏壇の関係者は▽宮殿師が作る部材が海外からの供給に押されている▽錺金具師の製造工程がプレス機など機械化されている▽職人として一人前になるには最低10年かかる―ことなどをあげている。
 彦根仏壇を伝統的工芸品と呼ぶには、七職すべてが彦根仏壇の職人によって作る必要がある。そのためこのままの状況が続けば、錺金具師と宮殿師の現在の職人が引退する10年~20年後には伝統的工芸品としての製品ができなくなる。
 仏壇のほかの産地でも同様の後継者不足が課題になっており、職人がいなくなった部門を各都道府県の許可を得た上で他産地の職人に作ってもらっているケースもある。彦根仏壇の業界でも今後、滋賀県に申請する可能性があるというが、認可されるかは未知数であり、後継者の育成が急務な状況にある。
 同組合の宮川孝昭理事長(70)は「これまでは子どものころから継承されてきたが、今は時代的に厳しい状況。仏壇の職人には30歳代からでも十分になれるので、やりたいと思う人は是非来てほしい」と話している。

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