2017年4月27日木曜日

市長選の分析

 ※解説=今回の市長選の注目点は現職に対する批判票が信任票を上回った点と、田原氏への予想以上の支持である。
 大久保氏は前回の市長選では1万6903票を獲得し、当時の現職に7000票以上の差を付けての圧勝だった。今回も知名度で劣る新人2人が相手だったため、再び圧勝を予測する声があったが、結果は前回よりも票を減らした上、批判票は信任票より大きく上回った。
 この原因は市役所本庁舎の耐震化などを巡る市政の混乱、次期市政における大規模事業の先行きへの不安、有力な支援者との癒着に対する危惧、民進党色が強いことへの嫌悪感などがある。
 これら次期市政への懸念は次号のコラムで論じる予定だが、大久保氏は批判票を真摯に受け止め、大規模事業をはじめ、見直すべき事項は計画を改める必要がある。市長選で対抗馬の前川氏を支持した市議が約10人いることからも、市議会が計画通りに承認するとも思えない。
 そして、もう一つの注目点は田原氏の得票である。議員の支援を受けない同級生を中心にした選挙戦は苦戦が予想されたが、8000票を超えるという大健闘だった。この原因としては、▽降雨の中で街頭演説をするなど公示前からこまめに活動してきた▽対現職の政策をわかりやすく率直に論じていた―ことなどがあるが、マスコミや他陣営を驚かせた得票で、選挙は組織だけではないことを改めて認識させられた。       (山田)

2017年4月26日水曜日

現職の大久保貴氏が新人2人破り再選も「批判票」は「信任票」上回る

 彦根市長選は23日、投開票が行われ、現職の大久保貴氏(53)が1万5311票を獲得し、新人で前市教育長の前川恒廣氏(61)、新人で元毎日放送記者の田原達雄氏(68)を破り、再選を果たした。しかし、現職が獲得した「信任票」と新人2人を足した「批判票」を比べると、批判票が4165票も上回っており、市民は必ずしも現市政を評価したとは言えない結果になった。
 市長選は当初、争点なき選挙と言われていたが、本紙をはじめマスコミ各紙が次期市政で相次ぐ大規模事業を特集記事として取り上げると、告示前後から争点化し始め、論点の中心になった。
 特に平成36年に開催される滋賀国体では主会場が彦根になるため、新しい市民体育センターの整備費(約60億円)を含む関連費用約100億円を計画通り進めるのか否かで、現職と新人2人の意見が分かれた。
 大規模事業について、大久保氏は「やりくり算段して、計画通り着実に進める」とし、前川氏と田原氏は市の財政が厳しいとして「計画の見直し」を主張。また新人2人の陣営からは「現職には有力な人が付いており、利権が絡む恐れがある」と牽制する声も頻繁に聞かれた。
 選挙戦ではこの大規模事業を中心に、稲枝地域の振興策、教育・子育て問題なども取り上げられ、3氏がそれぞれの主張を展開したが、連合滋賀の推薦を受け、民進党の国会議員、県議、市議、自民党の国会議員、県議、市議からも支持を得た大久保氏が知名度と組織力で序盤から有利な選挙戦を展開。中盤以降、新人2人の追い上げを受けたが、次点に4465票差を付けて勝利した。
 前川氏は自民党の国会議員、県議、市議、公明党の市議、民進系の市議が付き、市民体育センターの計画見直し、教育・子育て支援の充実、経済振興などを唱えて猛追したが、勝利には至らなかった。選挙後、前川氏は本紙の取材に「多くの市民の皆さんに訴えが浸透できなかったのは残念だ。保守票が割れてしまったことや候補者を一本化できなかったことも影響したと思う」と語っていた。
 田原氏は議員の応援がなく、同級生を中心にした草の根の選挙戦を展開。市の財政問題、中学3年生までの医療費無料化、稲枝地域の振興などを訴え、最下位に終わったが、健闘した。選挙後、田原氏は「予想以上に得票が少なかった。厳しい選挙戦だった」と振り返り、告示前に持ち上がった前川氏との一本化については「一本化しても現職に勝てるとは思わなかった。今もその判断は間違っていないと思っている」と話していた。
「チャンス生かし強い彦根に」
 午後10時ごろ、びわ湖放送で当確の報道が出ると、西今町の選挙事務所内の広間に大久保氏が国会議員や県内の首長、支持者から拍手と歓声を受けながら登場。
 万歳をした後、大久保氏は滋賀国体にふれ「間に合うように県と協力していきたい」とし、対立陣営が指摘してきた財政面については「彦根の財政は極めて健全。市民からは心配する声もあり、説明不足だと思っている。まちづくりの大きなチャンスであり、そのチャンスを生かしていきたい。真の意味での強い彦根を作っていきたい」と語った。
 また翌日の24日には市長選の当選証書の付与式が市役所5階であり、市選管の小川良紘委員長から大久保氏に証書が渡された。式後、記者陣に大久保氏は選挙戦の感想などを語った。
 選挙戦を振り返っての問いに大久保氏は「市の財政状況を市民の皆さんに理解して頂く作業が十分でなかったと思っている。ほかの候補者がおっしゃった財政危機の文言に市民が反応されたこともあった。色々と考えさせられた選挙だった」と述べた。
 次期市政で相次ぐ大規模事業については「予算的なことよりも難度が高い事業が重なると理解しており、それを乗り越えるために頑張っていきたい」とし、そのうち図書館整備については「用地の選定をどういう手法でするのか、時間がかかる可能性があるが、最善を尽くしたい」と説明。
 最後に、市民に向けては「継続して頑張れとの審判を頂いた。持てる力をすべて出し切って実績をあげる4年間にしたい」と話した。

2017年4月22日土曜日

彦根市長選あす23日投開票

 彦根市長選はあす23日、投開票を迎える。出馬しているのは、現職の大久保貴候補(53)、新人で元毎日放送記者の田原達雄候補(68)、新人で前市教育長の前川恒廣候補(61)。争点となった大規模事業を中心に、3候補はきょう22日、最後の訴えを行う。
 大久保候補は知名度と組織力を生かし、個人演説会では国会議員や県議、経済界の重鎮らの応援を得ながら、会場をほぼ満員にする勢いで選挙戦を展開。4年間の実績をPRしながら、大規模事業について「着実に前に進める」と訴えてきた。22日は市内一円をこまめに回るといい、選対本部長の植田洋一さんは「現職優勢との報道があるが、実感しておらず、大激戦だと感じている」と話している。
 田原候補は議員ら組織の支援無しで、同級生を中心にした「雑草軍団」(陣営)で草の根の選挙戦をしてきた。「現市政の財政は危機的だ」と各事業の見直しを求めてきた。22日は市内全域に街宣車を走らせて、ベルロードを桃太郎作戦する予定。選対本部長の郡田等さんは「組織や利益集団、議員の支援がない孤立無援の戦いで非常に厳しい選挙戦だ」と語っている。
 前川候補は現職に対抗する議員の支持を得て、大手企業や市教育長での実績をアピールしながら「事業を見直した財源を教育や福祉にあてる」と語ってきた。22日は午前に稲枝・河瀬地区、午後に南彦根・彦根エリアを回り、午後5時~四番町ダイニング、同6時~中地区公民館で個人演説会。選対本部長の杉原祥浩市議は「支持の声は日に日に増している。やり残したことがないように最後の1日、訴えたい」と話していた。

2017年4月20日木曜日

彦根市長選、現職追う新人2人

 彦根市長選が16日告示され、現職の大久保貴候補(53)、新人で元毎日放送記者の田原達雄候補(68)、前市教育長の前川恒廣候補(61)が出馬。23日の投票まで熱い選挙戦が繰り広げられる。序盤戦を終えて、大久保候補を前川候補と田原候補が追っている情勢だ。
 今回の市長選は国体関連予算を中心に、図書館整備、広域ごみ処理施設など、今後予定されている大規模事業に対して、現職と新人で意見が異なり、争点化しつつある。
 大久保候補は「彦根は分岐点にある」「やりくり算段して、着実に進めていく」と述べるなど、各事業を計画通り進める意向だ。一方で田原候補は「市の財政は危機的な状況だ」とし、前川候補は「見直した財政を教育や福祉に回す」と計画を見直す考えを示しつつ、ひこね燦ぱれす周辺に建築予定の新しい市民体育センターを違う場所にする意向を示している。
 ほかの主な政策として、大久保候補は「図書館は彦愛犬の拠点として整備していく」「稲枝駅西口から県道2号線までの開発を進めたい」と説明。田原候補は「中学3年生までの医療費の無料化」「稲枝西口への図書館整備」を主張。前川候補は中学3年生までの医療費無料化のほか、「滋賀大のデータサイエンス学部の活用」「稲枝駅西口の整備」をあげている。
 大久保候補には民進党の田島一成衆院議員、中沢啓子県議、同党系の市議6人のほか、自民党の細江正人県議、大野和三郎県議(犬上郡)、市議数人が支援し、連合滋賀が推薦。知名度と組織力で他陣営に勝り、有利な戦いを見せている。
 前川候補には自民党の西村久子県議、自民または保守系、民進系、公明党の市議9人程度が応援。当初は現職のみの支持の可能性もあった自民党の上野賢一郎衆院議員が、前川候補の出陣式で応援演説をしたことで、同陣営に勢いがついており、現職を猛追している。
 田原候補は議員が付かない状況で、同級生を中心に「草の根」の選挙戦を展開しているが、厳しい戦いが続く。
 なお、選挙人名簿の登録者数は15日時点で9万1377人。

大野県議の集会に現職参加

 「彦根市大野和三郎を育てる会」は、市長選告示日の16日夜に、ひこね燦ぱれすで国政県政報告会を開き、大野県議が支援する大久保候補も「ゲスト」として参加した。
 報告会の冒頭、大野県議は「滋賀は南高北低で、湖東地域はインフラ整備が遅れている。そんな中で国体の主会場が彦根に決まった。大久保さんでなければ彦根に誘致できなかった」と持ち上げた上で「外町の交差点の渋滞を解消させて、多賀のスマートインターチェンジを整備すれば、彦根城、多賀大社、湖東三山に今より多くの観光客が訪れる」と解説。「この地域の経済を活性化させることで財政面も良くなり、その財政を教育や福祉に回せる」と語った。
 自民党の小鑓隆史参院議員、上野賢一郎衆院議員、二之湯武史参院議員も大久保候補への支持を求める演説をした後、大久保候補が登壇。「何年も動かなかった国道8号線バイパスを進めようとして頂いている。平成36年の国体はチャンスであり、都市基盤の整備を着実に進めていきたい」「福祉や教育の面もできることからやってきた。財政は良くなっており、貯金も増えている。政策を遂行できると自信を持っている」と述べ、ガンバローコールで締めくくった。
◆メモ帳
 彦根市長選告示前の13日夜に、市内の葛籠町公民館で「図書館整備についての意見交換会」があり、現職市長の大久保氏と大野県議が答弁者として参加した◆図書館について現市政は、中央館を河瀬・亀山学区に整備する計画であるため、同学区に位置する葛籠町、犬方町、法士町、出町の4自治会が意見交換会を企画。地元住民100人ほどが参加した◆大久保氏は図書館の整備計画や4年間の実績をアピールして退席し、中盤以降は住民の質問に大野県議が答える形式となり、彦根市の財政面にゆとりがあることを強調しながら、大久保氏への支持を求めていた◆この意見交換会を傍聴して違和感を抱いたのは、大久保氏と大野県議の「蜜月ぶり」よりも、ほかの彦根の県議3人は何をしているのか、という疑問である◆地元住民によると、中山道の交差点の危険個所について、大野県議に立ち合いを求めて、行政側と交渉にあたってもらっているという。確かに県議会の選挙区は前回の選挙から彦根市と犬上郡が一つになり、大野県議が彦根のために尽力するのは理解できるが、彦根選出の県議にはもう少し市民に頼られる存在になって頂きたいと思う今日この頃だ。     (山田)

彦根市長選3候補が第一声

 16日に告示された彦根市長選に出馬した3候補の出発式での第一声は以下の通り。
 大久保候補は地元の三津屋町で出発式を開いた後、パリヤ前で約300人を前に出陣式。「未熟な市長だったが、皆さんのお陰でつつがなく市政を運営することできた」と4年間を振り返った上で、「彦根は日本のど真ん中に位置する中で、我々が成し遂げることは何か。安心できる地域社会を築くために、福祉モデル都市を目指して進んでいこうという思いに変わりはない。健康長寿のまちを作るというのが私に求められた役割」と語った。
 また、子どもの貧困や学力向上など教育・子育て施策と、インフラなど都市基盤の整備の充実を進める考えを示した上で「県や国の協力を得て少しずつ彦根は変わりつつある。大きな流れを作り上げていきたい」と述べた。上野賢一郎衆院議員、田島一成衆院議員らが応援演説を行った。
 田原候補は銀座商店街の事務所前で約80人を前に「大久保市政の再選を阻止する」と第一声。「大久保市政は頼りない、任せておけないという不満が彦根の中に広く深く浸透している」と危機感を訴えた。そのうえで、財政健全化による財源確保や、新しい人事評価制度の導入で「市役所に対する市民の信頼を回復させたい」と呼びかけた。また「経済団体、ボランティア団体などいろんな団体と市長自らが友好的な関係を取り戻し、彦根市全体に本来のチームワークを取り戻したい」と語った。新人候補一本化の提案についても触れ「きっぱりと断った。前川さんに一本化しても勝てる見込みがないから」と振り返り、「どんどん目立てば私にも勝機がある。1週間しっかり頑張りたい」と決意を語った。同級生で長久寺住職の松山貞邦氏らが応援演説を行い、選対本部長の郡田等氏の合図で「ガンバロー」と気勢を上げた。
 前川候補は平田町の選挙事務所で約200人を前に第一声。約100億円に上る国体関連予算を見直す考えを示した上で「彦根の将来、未来につながる政策に振り向けていくのが私の役割。過去の4年間よりもこれからの4年間の彦根を導きたい思いだ」と意気込んだ。
 また民間企業や教育長の実績を示しながら「児童生徒の学力を向上させ、ハンディキャップのある子どもたちへの支援もしていきたい。民間企業で培った力でしっかりとした経営をしていき、地域振興を成し遂げたい」と説明。最後には再び新しい市民体育センターの整備方針を見直す方針を示しながら「ハンディキャップのある人たちが集える施設を作りたい」と述べた。上野賢一郎衆院議員や中村善一郎元県議、市議らが応援演説を行った。

2017年4月18日火曜日

彦根城の世界遺産 実現できる?

 彦根城の世界遺産登録についてはここ近年の市長選で、毎度のごとく市政課題の一つに取り上げられ、その後の市政において登録に向けた施策を進めてきたが、その実現のめどは見えていない。また市民の中には既にあきらめモードさえ漂っており、盛り上がりもいまいちだ。そんな中ではたして世界遺産登録は実現できるのだろうか。
 前市長の時代は、▽城内や大名屋敷など特別史跡内を「コアゾーン」に、旧城下町を「バッファゾーン」に分けて登録を目指す単独案▽松本城、犬山城、すでに世界遺産になっている姫路城との国宝四城(当時)案を中心に進められてきた。
 しかし現市政は国宝案を外し、特別史跡内のコアゾーンに焦点を絞った形で進めてきたが、平成28年度には城下の物件を加える形に変遷。3月末には特別史跡と、辻番所、井伊神社、外堀土塁など城下の5件を含めた「城を中心に発展した江戸時代の都市構造」をコンセプトにした準備状況報告書を文化庁に提出した。
 今後、井伊家ゆかりの寺や藩校、武家屋敷、お浜御殿などが追加されることも考えられるが、彦根城世界遺産登録推進課の担当者は「国の重要文化財クラスを中心に世界遺産の登録候補物件に加える場合もあるが、逆に外していくこともあり、最終的には5件前後になるのでは」としている。
 市は今年度から2、3年かけて推薦書原案を作成し、並行して学術検討委員会で協議をするなどして、平成33年度までには国内推薦を受けて、同36年度までに世界遺産登録を目指す意向だ。
 しかし、世界遺産登録のネックになっている姫路城や世界のほかの城郭との差別化が図れるのかは未知数である。しかも肝心の市民の盛り上がりは皆無に等しく、市がどれだけ啓発しても響かないのが現実だ。彦根城の世界遺産登録の前途はまだまだ厳しいと言えよう。【山田貴之】