滋賀彦根新聞

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2024年3月13日水曜日

近江高野球部へセンバツ旗 大石新主将「被災地に希望を」

 選抜高校野球大会(センバツ)に出場する近江高校で2月27日、センバツ旗の授与式が開かれた。
 大会主催の毎日新聞の藤田文亮・大津支局長から近江高校の校章が入ったセンバツ旗が、新しく主将に就任した大石尚汰選手(2年)に渡された。大石主将は「滋賀の代表校としての誇りを胸に抱き、能登半島地震の被災地に向けて希望と勇気を与えられるよう、近江の野球を存分に発揮したい」と意気込みを語った。
 岩谷斉校長のあいさつ後、県高野連の大久保雅生理事長は「甲子園ではアルプススタンドの応援が選手たちを押し上げていく。チームにとってはベンチ外の部員たちの力も大事になる」と激励した。
 授与式後、大石主将は「甲子園では自分の役割を果たせるよう、頑張りたい。西山恒誠投手を中心に守りの野球と、1点ずつとっていく近江らしい野球を見せたい」と話した。多賀章仁監督は「春は投手力が大事。しっかりやれば、戦い抜ける」と自信を見せた。

2024年3月12日火曜日

山の湯が古本とレコードの店に 5年前に閉店の銭湯にオープン

 2019年8月に廃業した彦根市中央町の銭湯「山の湯」が古本とレコードの店として3月9日にオープンした。中央商店街で古本屋を営んできた「半月舎」と東京などでレコード店を経営してきた「円盤」の共同経営となる。
 山の湯は1879年(明治12年)創業で、のれんをくぐると左が女風呂、右が男風呂になっていた。入り口を入ると中央に番台があり、脱衣場から浴場に入ると、少し熱い湯、常温、かけ湯用、薬湯の浴槽があった。浴場の様子は彦根出身の画家・上田道三の絵「明治の風呂屋」にも描かれており、外観を含めて明治期の面影を残している。
 彦根市内には多い時期で20軒ほどの銭湯があったが、時代の流れで減少し、10年ほど前に山の湯のみとなった。そして利用客の減少による経営難や設備の老朽化によって約5年前に閉店。その後は不動産業者が借主を探していた。
 半月舎の代表の御子柴泰子さん(37)は以前から山の湯の空間に関心を示し、気にかけていた。昨年8月に円盤の店主の田口史人さん(56)と、山の湯で古本・レコード市を開催した際、多くの来店客で賑わったことから、山の湯での開店を決意。昨年1229日から今年1月8日には2回目の古本・レコード市を開いた。
 半月舎は1月15日に休業、円盤も2月中に拠点を彦根に移し、それぞれ引っ越し作業や建物の一部改修を行い、3月のオープンを目指してきた。女湯が古本、男湯がレコードの店になる。
 
御子柴さんは「古い建物で、古本とレコードの買い物を楽しんでほしい。イベントや企画展示もやりたい」と話している。

国スポ・障スポへカウントダウン 600日前に彦工生が天守型ボード製作

 県内で2025年に開かれる「わたSHIGA輝く国スポ・障スポ」まで今月6日で600日前となることから、彦根工業高校の生徒たちが作った彦根城天守型の「カウントダウンボード」が市内3カ所に設置された。2月5日には市役所本庁舎で生徒たちを招いたお披露目式が開かれた。
 国スポ・障スポの機運を高めるため、市からの依頼を受けた彦根工業高校は3年生の課題研究の一環として、機械科、建設科、電気科が連携して計画からデザイン、製作まで約1年かけて仕上げた。
 本体のフレームを機械科の9人、カウントダウンなどが表示されるディスプレイを電気科の3人、正面に設置の天守の木造部分を建設科の9人が担当。完成したボードは天守の大きさが幅80㌢×高さ1㍍50㌢、奥行きが60㌢の計3台。市役所本庁舎、彦根駅、プロシードアリーナHIKОNEに設置されていて、国スポ・障スポの両大会までの日数や市内での開催競技名、競技別の会期が表示されている。設置期間は両大会の終了まで。
 市役所で開かれたお披露目式には大久保貴生校長や生徒12人らが出席。製作者代表で建設科3年の岡田沙希さん(18)=大薮町=や、わたSHIGA輝く国スポ・障スポ彦根市実行委員会会長の和田裕行市長らが除幕すると、見学していた市民や市職員から拍手が起こった。
 
市長は「とてもすばらしいボード。国スポ・障スポを盛り上げたい」と礼を述べ、ひこにゃんが生徒たちに記念品を贈った。大久保校長は「3つの科が一つの作品を仕上げたのは初めてで、新たな挑戦の機会を頂けた」と話し、岡田さんは「市民の方にわかりやすく、親しみを持ってもらおうとの思いを込めて作りました。このような貴重な機会を頂き、感謝しています」と語った。最後にはひこにゃんを交えた記念撮影が行われた。

酒粕使ったローチョコ開発 芹橋のハレトケト「美容と健康に」

 彦根市芹橋2丁目のローチョコレートの店「Hareto-keto(ハレトケト) Raw Chocolate&Detox Cafe」が酒粕(かす)を使ったチョコレートを開発し、2月3日に発売。店主の吉田理恵さん(36)は「美容と健康が気になる皆さんに食べてほしい」と話している。
 吉田さんは2018年10月に足軽組屋敷の村山家住宅=市指定文化財=を改装して開店。48度以上の加熱調理をせずに生(raw)のカカオ豆で作るローチョコレートの店として、マスコミにもたびたび登場している。2021年春には近くの古民家に「チョコレート工場」もオープンした。
 
ビーガン商品
リピーター増も
 
 観光客らに滋賀の食材を使った商品を味わってほしいとの思いから、県内各地にある酒蔵の酒粕に着目。ハレトケトのローチョコと、女性が杜氏(とうじ)を務めている喜多酒造(東近江市)の酒粕をミックスする形の商品を新たに開発した。
 商品名は「発酵美容チョコ 潤味(Urumi)」。発酵食品の酒粕を使っていることで整腸作用による免疫力が強化できるほか、白砂糖や乳製品不使用のためビーガンやベジタリアン志向の外国人らにも対応できるとしている。
 吉田さんは「店や彦根を訪れる市民や観光客の皆さんに、この商品をきっかけに滋賀や彦根に愛着を持ってもらい、そしてリピーターにもつなげたい。ビーガンを視点に海外からのインバウンド増にも貢献できれば」と話している。
 商品は16個入り、計約80㌘。1箱1980円。同店、彦根みやげ本陣、さざなみ酒店(いずれも佐和町)、ここ滋賀などで販売(一部予定)。問い合わせは同店☎050(7115)4899。

 

2023年9月29日金曜日

佐和山小 30人が熱中症 運動会後 搬送児童の保護者「驚いた」

 28日午前1115分頃、彦根市立佐和山小学校で運動会を終えた児童が体調不良を訴えているとの通報が市消防本部にあった。その約1時間後、本紙記者が現場を訪れた際はドクターヘリや複数の救助車両が運動場内に止まり、保護者たちが心配そうに眺めていた(写真は午後0時20分頃)。
 佐和山小では運動会を28日と1018日の2回に分けて実施。市教委学校教育課によると、この日は午前9時から約2時間、学年ごとに50㍍、80㍍、100㍍の徒競走が行われた。運動会終了後、6年の男児一人が「しんどい」と訴え、その後も体調不良を訴える児童が相次ぎ、学校側が救急要請をした。市消防本部によると、30人が体調を崩し、全員が市内外の病院に救急搬送された。いずれも熱中症とみられ、中等症が14人、軽症が16人で、高学年が大半を占めた。
 軽症の児童は市が出したマイクロバス1台で運ばれた。ほかにドクターヘリ1機、救急車3台、消防車両6台、湖北地域消防本部の救急車1台が出動した。
 
高温の中、真剣な走り影響か
 
 搬送された児童の保護者の一人は「学校から連絡を受けた際は驚き、急きょ病院へ駆けつけた。真剣に走った時に高温だったことが影響したのかもしれない」と話した。
 佐和山小では熱中症対策として、競技の合間に水分補給をする時間を設け、2時間で計6回の休憩時間があったという。彦根地方気象台によると、この日の午前11時時点の市内の気温は31・1℃だった。

2023年9月12日火曜日

視覚障害者の歩行に支障 中堀沿い歩道のポール3本

 彦根城中堀沿いの県道の歩道にある車止めのポールが、視覚障害者の通行に支障があるとして、障害者と支援者らが8月21日、県湖東土木事務所(彦根市元町)の職員にポールの移動などを現地で要望。県側は問題を認識し応じる姿勢を見せた。

県が4年前設置
大津の事故受け
 
 問題の場所は、県道25号線彦根・近江八幡線と市道立花佐和線が交差するT字路にある歩道で、ポールは立花町の県道内に立っている。2019年5月に大津市内で園児ら16人が死傷した事故を受け、県は19年度に県道交差点に防護柵やポールを整備。立花町の県道歩道には彦根城方面の横断歩道手前に1本、銀座方面の横断歩道手前に2本を設置した。
 しかし、それぞれのポールが点字ブロックと横断歩道の間にあるため、視覚障害者が歩行する際にぶつかるなどの支障が出ている。特に横断歩道から歩道に向かう際、ポールの存在を白杖で確認している間に信号が赤に変わってしまい、戸惑うこともあるという。
 一方で、近くの園の子どもたちも散歩などでこの歩道を利用している。視覚障害者の一人は「園児と視覚障害者の両方が過ごしやすい構造にしてほしい」と話す。
 県湖東土木事務所道路計画課の担当者は「なぜ、そのような場所に設置されたのかは不明だ」とした上で「問題があると認識している。近くの園などと相談しながら、ポールの位置をずらすなどの対処を検討したい」と語っている。

 

稲枝駅西側への専門職大学建設計画なくなる、重要遺構の発見で

映像分野の人材を育てる専門職大学の建設計画があった彦根市の稲枝駅西側のエリア近くで3世紀頃の遺跡が見つかり、同地での開校が困難になっていたことがわかった。市は専門職大学を創設する学校法人吉田学園(大阪市)に市内の代替地を提案している。
 稲枝駅西側のエリアは彦富町にある約4㌶の民有地で、市は当初、県立高専の候補地としていたが、「落選」後に吉田学園側と誘致について交渉。2027年度の開校を目指し、今年3月に基本合意書を締結した。
 吉田学園は大阪と東京でアミューズメントメディアの学校を運営。稲枝駅西側に開設を計画していた専門職大学は1学部・1学科で、映画、アニメ、俳優・声優の3専攻科を設け、1学年100人の4年制計400人の規模を想定していた。
 
稲部遺跡群で大溝跡発見
計画地近く、市は代替地提案
 
 しかし同地は稲部遺跡群の中に位置し、以前から重要な遺跡が見つかる可能性もあった。そんな中、同地近くでの市道整備に伴う市文化財課の発掘調査で、弥生時代後期から古墳時代前期とみられる幅10・8㍍×深さ1・22㍍・長さ約20㍍の大溝跡が昨年11月に発見。その後の学術的な調査で「(周囲を含めて)重要な遺構の可能性がある」とわかり、大溝が専門職大学の建設が計画されていたエリアに延びている可能性も判明。同地で試掘した上での本調査の必要が出てきた。
 文化財課からの報告を受けた市企画課は5月末に吉田学園側に事情を説明。吉田学園側が「早期開校」を目指しているため、稲枝西側のエリアでの開校はなくなった。そのため市企画課は市内の駅近くの地や市有地などを提案している状況だ。計画の白紙について市は否定している。